9月9日(土)細工づくりの見学

こんにちは、今日は中塚がお伝えします。

保存会の集会所に出入りし始めてから月日が経つのがうんと早く感じます。

 

 この日は、集会所でいつものように千日紅に糸を通し、ひと段落してあとは縄のこすりを行いました。この「こすり」については先日の記事でも紹介したのでぜひご覧になってください。最近は日が暮れてから風が涼しく感じるようになりましたが、この作業はやはり一汗かきます。

 

 いつも集会所での夜なべは20時半ごろに終了し解散となりますが、この日は終わってから、ご自宅で神輿の細工づくりをされている上田さんと竹尾さんのお宅にお邪魔しました。

 集会所だけでなく会員のご自宅でも瑞饋神輿の準備は着々と進められています。「欄間」・「桂馬」・「腰板」といった部位はそれぞれ会員の作者のご自宅で製作されます。まさに内職というべきでしょうか。

 

【写真①】上田さんのお宅にて

 

 上田さんのお宅へお伺いすると、上田さんご夫妻がとても暖かく出迎えてくださいました。2階で作業の様子を見学し、材料や手法についてとても丁寧に教えていただきました。今年用に製作中の「腰板」と「桂馬」も見せていただきました。(完成品は10月1日までのお楽しみです。)

 上田さんの瑞饋神輿への熱意に圧倒されました。毎年10月4日の神輿の巡行が終わった翌日からもう次の年の神輿の準備にとりかかり、1年を通して神輿のことを常に考えていらっしゃるそうです。「わたし、年中やってます!」(上田さん)

 自然由来の材料のみを使用するという瑞饋神輿ならではの不文律を守り、普段よく行くスーパー、旅行先の道の駅など、様々な場所で日常的に材料集めをされているそうです。

 「この材料からこんなものができそうだ」「これは使えそうだ」など、表現者としての創作への熱意がひしひしと伝わってきました。野菜の場合は皮や芯がしっかり残るものが材料に適し、生ものはそのままでは使えないため、数か月間干して水分を完全に取り除くそうです。

 

【写真②】鹿ケ谷カボチャの皮

 

【写真③】20年前に製作された「獅子頭」、「栗の光沢が良い」(竹尾さん談)

 

【写真④】上田さんの材料コレクションの一部

 

 上田さんのお宅をあとにし、次に竹尾さんのご自宅兼作業場にお伺いしました。竹尾さんには、昨年の「腰板」を見せていただきました。立派な鯉です。ヘチマ・トウモロコシ(実も皮も)・クラカケ豆・キクラゲを使用して製作されたものです。
 「道の駅でこのヘチマを見てビビッときた」とのことで、よりよい材料を集めようという意識が非常に高いようです。クラカケ豆がつけられた少し光沢を帯びた鯉の目、トウモロコシの皮で作られたしなやかなヒレ、そして水しぶきを表すキクラゲ。鯉の躍動感が見事に表現されていました。
 また、ホオズキとトウモロコシの皮を使ってトンボも表現されていました。竹尾さんは、毎年「今年は何をつくろうか」とイメージを膨らませていき、「作るときは一気に」製作されるスタイルだそうです。

【写真⑤】鯉

 

 材料としてよく使われる「かっぱ(ずいきの茎)」も拝見しました。自由に形を作ることができるため、非常に重宝されるそうです。品種により色が異なり、使い分けられているそうで、細かなこだわりを感じました。

【写真⑥】ズイキの皮、二種の色

 

 瑞饋神輿では、このように「それが一体何で作られているのか?」という楽しみ方ができます。10月1日からの瑞饋祭りにお越しになった際は、神輿の装飾がどのような材料からできているのか、ぜひ注目してください。

 ちなみに、他にも装飾を製作している会員の方がいらっしゃいますが、作者同士ではお祭りまで何を作っているのかは言わないことになっているそうです。それぞれの作者の方がオリジナリティをお互いに高め合っているように感じました。

 まだまだブログ更新は続きます、それでは。