はじめまして!立命館大学部文学部地理学専攻の近藤です。
屋根がずいき(サトイモの茎)で葺かれていることに名前を由来するずいきみこしは、すべて農作物などの自然の産物で装飾されています。鮮度が大事であるため毎年つくりかえられており、今年も9月1日からおみこし作りがはじまりました。
一週目のブログでは基本的な作業の内容や雰囲気をお伝えしたいと思います!
千日紅摘み
本格的なおみこし作りの初日である9月1日は、これからほぼ毎日おみこしづくりの作業をするため通うことになる西之京瑞饋神輿保存会の集会所に集まったのち、保存会会員の方の車に分乗しおみこしの真紅(しんく)の素材である千日紅(せんにちこう)を摘みに行きました。
千日紅は名前の通り長いあいだ色あせない鮮やかな花です。会員の方の畑の一角がこの千日紅を栽培するために使われており、こんなところからもおみこしに対する熱意が伝わってきますね!
畑では真紅全体に使用する赤色の千日紅と、真紅中央の「天満宮」の文字をかたどるための白色の千日紅が栽培されています。この日は赤色のものを摘みました。小さすぎるものは使えないため、ある程度の大きさになっているものを花の部分だけ摘み取ります。
さすがのスピードで摘んでいく会員の方に対し、試行錯誤しながらのわたしたち受講生…。
最後に大きなカゴに集めるとかなりの量になっていて、しっかりスタートを切れたことに一安心です。
集会所に戻ったら、翌日からの糸通し作業をスムーズに進めるため、摘んできた花をござの上に広げ、扇風機で風を当てながら乾燥させます。これで初日の作業は終わりです!
ちなみに翌日、花を摘む作業に慣れていなかったせいかはわかりませんが手首が少し筋肉痛になってしまいました(笑)。

図1 千日紅摘みの様子

図2 摘んだ千日紅をカゴに集める

図3 ござに広げて乾燥させる
千日紅の糸通し
二日目からは集会所での夜なべ作業がはじまります。会員の方の多くは日中に仕事をされているため、夜の七時からのスタートです。昼間はまだまだ残暑が厳しいものの、この時間になると暑さも幾分和らいでいて作業に集中しやすいですね。
その昔、まだテレビなどの娯楽がなかった時代には夜なべ作業で集まった際にする雑談が日々の楽しみになっていたのだとか。
今夜もおみこしに飾る細工のテーマをどうするかといった話から最近のニュースや各々の仕事についてなどの世間話まで、さまざまな話題が飛び交う和気あいあいとした雰囲気の中、作業が進められていきます。会員の方と私たちでは年齢も環境も大きく異なるものの、おみこしの完成という共通のゴールを目指す中でトークテーマを共有することはまったく難しいものではありませんでした。
真紅は千日紅をそのまま貼り付けるのではなく、花を糸に通してまとめたものがくるくると巻かれてつくられています。この糸に花を通す作業が夜なべ作業の最初の工程です。乾燥させた千日紅の花を、針と糸を使って一本にまとめていきます。
この時のポイントは主に二つ。花の芯を狙って糸を通すことと、その際に同じ高さで糸を通し続けることです。糸が芯を通っていないとすぐに取れてしまいます。また高さが揃っていないと、真紅に巻いた際の見た目が悪くなってしまうのです。
これからしばらくこの糸通し作業が続きます。はじめのうちはどの大きさの花を選ぶのか・どこを狙えば芯に糸が通るのかといった感覚がつかめず、そうやって四苦八苦しているうちに糸が絡まってしまうこともありました…。
糸通しが一本終わったら、花の余計な部分を切っていきます。花の下側をカットすることで高さを揃えるだけでなく、巻く際に花が横向きに倒れてしまわないようにするのです。このとき切った部分は翌年の種として再利用されます。千日紅は一年草なので、毎年このようにして千日紅を栽培しているのだそうです。
また、糸が芯を通っていないものや小さすぎるものはこの作業で取り除かれます。
初日に摘み取った千日紅は、乾燥、糸通し、切りそろえを経てやっと真紅に巻けるようになります。おそらく夜なべでもっとも時間がかかる作業がこの千日紅の糸通しです。

図 4 切り揃え前

図 5 切り揃え後

図 6 千日紅を真紅に巻く様子
真紅の準備
集会所の中には昨年の真紅がつるしてありました。昨年の千日紅は花が小さかったため、やむを得ず両端の部分には一昨年の花を使ったそうです。

図 7 制作中の今年の真紅(写真左)と昨年の真紅(写真右)
写真(図7)左の真紅が今年の千日紅を巻いたものです。昨年のものが右側にあり、その両端は一昨年の花なので3年分の比較ができます。やはり新しい花はとても鮮やかですね!こうしてみると2年も経つとさすがにかなり色あせていることがわかります。
今年の花を巻き付けるために、ブラシやカッターで真紅から古い花をはがします。きれいになったら洗濯糊を塗り、先ほど揃えた千日紅を一輪ずつスライドさせて位置を合わせながら巻いていきます。白い千日紅を使って天満宮の文字をかたどる部分はまた今度作業するので今はあけておきます。この部分の作業が待ち遠しいです。
ちなみに、昨年の真紅のうち一本の花の数を数えたところ、一周がだいたい34個。これが80列あったので、真紅一本につき約2,700個。おみこし一基に真紅は四本あるので1万個以上の千日紅が使われていることになります。
梅鉢づくり
ひたすら千日紅と向き合って真紅を作るのと同時に、梅鉢づくりも進められています。梅鉢とはずいきみこしの飾りや寄附へのお返しのために作られる、縄を天神さんの紋である梅の形に編んだものです。
梅鉢に使われる縄には、お米の藁から縄をなうところから始まる手編みのものと、既製品の機械編みのものがあります。今年は手編みから19個、機械編みから88個を作るそうです。この日は機械編みの縄を梅鉢の形にする作業をされていました。
作業はまず房の大きさを決め、折り目をつけることから始まります。ひと房の目安は手の大きさほどです。会員の方は一度でちょうど良い長さに折られていて、その手際の良さに驚かされます。
折り目が付いたら手と足を器用に使いながら梅花の形に編んでいきます。見ているだけで頭がこんがらがりそうなほどです…。
機械編みの縄はクセが強く捻じれやすいため編むのが難しいと伺いました。しかし会員の方の手さばきはそんなことを微塵も感じさせません。
編んだ結び目はいっぺんに締めず、回しながら少しずつ締めていくことできれいな形に仕上げていきます。

図 8 梅鉢を編む様子
この作業は梅鉢一個につき数分かかるためこの日はここで終わりです。タコ糸で縛って梅の形に整えたり、かぼすや稲穂で飾りつけをしたりと、まだまだたくさんの工程が残っています。
集会所の建物
わたしたちが毎晩作業をしているこの集会所についても軽く触れておきたいと思います。作業の多くが行われる、集会所の広間は、なんと江戸時代中期の築造です。明治期に光清寺から現在の位置に移設されたと言われており、今に至るまで集会所として利用されています。
玄関を開けると、江戸末期の集会所や安楽寺天満宮の様子を描いた衝立が目に入ります。そして広間へと進むと数々の写真が鴨居の上に飾られており、この集会所で毎年ずいきみこしが作られ、送り出されてきた歴史を垣間見ることができます。
集会所の南側にある白い蔵の梁には「大正九年五月吉辰」「西之京青年會」の文字がありました。(西之京瑞饋神輿保存会は1970年まで西之京青年會と名乗っていました)。
これほどの歴史がある建物たちが当たり前に使われていることにも驚かされます。

図 9 集会所内に飾られている写真

図 10 墨書きがある蔵の梁

図 11 玄関近くにある衝立
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次週以降、おみこしが徐々にできあがっていく姿を見られることが今から楽しみです。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


























