10月4日(水)巡行の様子と振り返り/望月

こんばんは。望月です。

去る10月4日、ずいき神輿の巡行が行われました。今回はその様子と、本講義を通じての振り返りをお伝えしたいと思います。

 

10月4日は午前9時に集会所へ集まり、台車・轅・太鼓など、巡行に必要な備品を蔵から搬出しました。

上の写真は、台車を出す様子です。

台車前方の装飾。

揺すって音を鳴らす部分。かなり大きな音が鳴ります。鳴り鐶(なりかん)と呼ばれるそうです。

細かなところに梅の装飾が施されています。

 

こちらは轅(ながえ)。お神輿に取り付けられます。

 

こういった備品を御旅所へと運搬し、お神輿を巡行できる状態にします。

特に台車は大きく、車輪の前を歩くと危険なため注意して運搬されます。これは巡行の際も同様です。

御旅所に運んだら、まずは2本の轅をお神輿に取り付けます。

非常に長いのがお分かりでしょうか。一人ではとても持ち上げることができないので、息を合わせて運ばなければいけません。

轅の位置を調節したら、縄でくくりつけます。縄で轅をくくりつけるのは珍しくありませんが、その縄の結い方は各お祭りに個性があるようです。これも伝統の一つです。

くくりつけるとこのようになります。完全に固定するというよりはやや遊びがある状態です。

子ども神輿も同じように轅を取り付けました。

轅を取り付けたら、轅を持って神輿を台車に載せます。

もちろん大人数です。

近年は神輿の担ぎ手(ずいき神輿は曳き手でしょうか)が不足しており、大学生などから協力を募るようです。この写真にて法被を着ているのがそういった方々です。法被の背面の紋様は梅を模っています。

無事台車に移動できました。

子ども神輿も同様です。

巡行の準備が整ったら、一旦集会所へと戻ります。会員さんと曳き手は、昼過ぎからの巡行に備え、着替えや昼食などの準備を済ませます。

 

そしていざ巡行です。

歩きながら写真を撮影すると迷惑かつ危険なため、限られた枚数しかありませんが、可能な範囲で雰囲気をお伝えします。

12時半、ずいき神輿は御旅所を出発しました。

太鼓と提灯が神輿を先導します。曳き手は台車につけられた縄を引っ張ります。その後ろでお神輿についているのが会員さん方です。私はお神輿には直接触れず、後ろからついて歩く形で参加しています。

お神酒を奉納してくださった家の前では轅を揺らし、先程紹介した鳴り鐶を鳴らします。狭い路地ではよく反響し、「ほいっとーほいっとー」という掛け声がかき消されるほどです。

こちらは信号待ちの様子。お神輿の巡行には交通整理も不可欠です。様々な協力のもとに巡行が行われます。

ずいき神輿はおよそ5時間弱の時間をかけ、合間合間に休憩を挟みながら非常に長い距離を巡行しました。私の万歩計で測ったところ、15、6キロメートルほどの距離です。

その最中で、写真右側のすみ瓔珞のパーツが落ちることがあります。こちらは縁起物で、拾う方もいらっしゃるそうです。

終盤には上七軒に向かいます。

上七軒では舞妓・芸妓さんが表に出て来られ、恒例の写真撮影タイムが設けられます。

上七軒を通り過ぎた後は北野天満宮の東門前でお祓いを受け、御旅所に戻ります。

御旅所に戻ったら台車から下ろし、片付けを行います。私は神輿を曳いたり鳴り鐶を鳴らしたりはしていないため、かなり楽をしていたはずですが、それでも15、6キロを歩いた後はへとへとになりました。この巡行を毎年行っている会員さん方の健脚ぶりに驚かされました。

台車や轅などは集会所に運び、再び蔵へと戻されます。

 

これにて巡行は終了となります。その後は集会所にて直会が行われ、大変ありがたいことに我々受講生も一緒に楽しませていただきました。

 

以下、講義を通しての振り返りです。

9月1日から約1ヶ月の間、毎晩のように集会所に通い、夜なべの様子を見学・体験したりお話をうかがったりすることは、私にとっていずれも初めての経験でした。あくまでもインターンで来ている学生という身分であるため、どこまで足を踏み込んでいいものかわからない部分も多く、戸惑うことも少なくありませんでした。しかし、会員さん方がいろいろなお話を積極的に聞かせてくださり、連日新鮮で貴重な経験をし、多くのことを学ぶことができました。また、質問にいつも丁寧に答えてくださったおかげで、ずいき日和の記事を充実した内容で執筆することができました。

私はもともと京都でしか味わえない経験をしたいと考え、今回のインターンに参加しました。私が京都に下宿を始めてから約2年の間、京都ではコロナの影響で伝統行事の筆頭である祇園祭さえ中止・縮小されていました。寂しさや歯がゆさを感じながら過ごしてきた中で、学生生活最後の年にようやくこうした機会に恵まれました。下宿生はどうしても地域社会との交流に消極的になりがちですが、今回のようにより近い距離で京都の伝統行事を経験できたのは、非常に貴重なことだったと思います。

人口減少や少子化、若年層の大都市圏への集中など、伝統行事の継承を困難にする要因は多々あります。しかし、ずいき神輿は一度断絶しながらも復活した歴史があるように、保存会の方々の並々ならぬ意思で継承されてきた伝統行事です。今回のインターンシップへの参加を通じて、伝統や文化を維持継承していくためには、柱となる精神性や大義を守りつつ、時代に合わせて少しずつ変化を加えていくことも重要だと感じました。

短い間でしたが、西之京瑞饋神輿保存会の方々には大変お世話になりました。

本当にありがとうございました。