巡行に参加してきました!
お久しぶりです、インターンシップ授業担当教員の三枝です。
夜なべ作業が終わって授業は一段落し、10月4日のずいきみこしの巡行日に、再びずいきみこし保存会を訪ね、巡行に参加してきました。
今回はその日の様子について、前半を三枝が、後半を受講生がお伝えします。
10月4日の朝6時30分に、私たちは夜なべ作業をしていた集会所を訪れました。集会所には、ずいき祭ののぼりが立っていました。
集会所の北側にまわり、台所へ行くと、すでにおむすび作りが始まっていました。まかない係の北野さん・荒田さんは、私たちよりずっと早い4時50分に集合し、すでにお米をといで炊き上げる作業を始めていて、1回目のおむすび作りが始まっていました。下の写真は、荒田さんが3升炊きのお釜で炊いたごはんを蒸らしたあと混ぜているところです(奥にいるのは北野さん)。
この3升炊きのお釜と、写真には写っていないもう1つの1升炊きのお釜とをフル稼働させながら、何度もお米をといでは炊いておむすびを作る作業ををくりかえします。巡行に参加する保存会メンバーとアルバイトのお昼ごはんとなるおむすびを、180個作らなければならないのです。
私たちもおむすび作りを手伝いました。
テーブルに置かれたお茶碗1杯分のごはんを、三角形にむすんでいきます。手にお水をつけて、そのあと少し多めの塩をつけて、かたすぎずやわらかすぎないよう注意しながらむすんでいくのですが、形やかたさをそろえるのはなかなか大変です…。
できあがると、三角形の頂点の部分にごまをふります。
途中、朝8時30分をまわるころから、集会所には保存会の会員さんたちが集まりはじめ、台所をのぞいて、「ご苦労さん!」と声をかけてくださいます。そして9時になると、全員、集会所の座敷に集まり、会長さんからごあいさつを受け、巡行のだんどりの確認等を受けます。それが終わると、まかない係は再びおむすび作りの作業に戻り、それ以外の会員さんたちは、集会所の蔵などからお旅所へ台車や轅(ながえ)を運びだす作業にとりかかります。
10時少し前に、おむすび作りの作業が終了したため、私たちは集会所を出てお旅所へと向かいました。お旅所に到着すると、子どもみこしの屋根をととのえている川本さんの姿が。屋根として葺かれている「ずいき」の表面が、酸化して茶色くなってしまうため、小さなナイフで切ってきれいにしていくのです。
同様の作業は、子どもみこしばかりでなく、大人の引くずいきみこしにもすでに施されていました。
続いて、神輿殿にかざられたずいきみこしを、かつげる状態にするため、轅にとりつける作業が始まりました。お神輿の本体と轅を、紺色の太い紐でくくっていきます。このくくりが弱いと事故につながりかねないため、慎重に教え伝えられてきた「男結び」とよばれる独特のくくり方でくくっていきます。
轅のとりつけが終わるころには、学生アルバイトがお旅所に到着し、会長さんからお神輿の特徴や今から行う作業の説明を受けていました。そしてとりつけ終わると、保存会のメンバーと学生アルバイトとが、会長さんの号令のもとで、お神輿をかつぎあげ、神輿殿から台車へとゆっくり移動させていきます。とても重そうです…。
台車に載せられたずいきみこしです。
ここまでの作業が終わるころには、午前11時になっており、昼食や着替えのため、会員さんもアルバイトもいったん集会所に引き上げて、12時30分出発の巡行に備えます。
12時30分、いよいよお神輿の出発です。ここからは、泉・芦田がお伝えいたします。
御旅所には、お神輿の出発を見届けようとたくさんの人が来られていました。
会員の方たちは正装に着替え、私たちは今回オリジナルで作成したTシャツに着替えました。
巡行中、普段、歩くことが出来ない車道を歩いていることにとてもわくわくしながら、お神輿の後をしっかりとついて行きました。
巡行の際には瓔珞(ようらく)などの飾りが揺れ動きます。御旅所に飾られているときとは違う美しさをお神輿の後ろから堪能させていただきました。
写真は、千本丸太町を通過しているところです。
このような大通りを通行止めにして巡行していることから、お祭の偉大さが感じられました。
御神酒を多くいただいた方の家や、保存会の会員さんのお家の前を通るときには、この「なりかん」を鳴らします。とても大きな音が鳴ります。
なりかんの内側には、「西京」という文字が彫られています。
途中で坂にさしかかると、一旦助走し、勢いをつけて坂を上ります。そして、坂を下る時には、後ろの人が全体重をかけてブレーキをかけます。
この作業がとても大変そうで、後ろから見ていてこちらまで緊張しました。
これは、上七軒通を巡行しているときの写真です。
お神輿の出発する御旅所と、この上七軒は、見物する方の数がひときわ多いです。上七軒の匠会という飲食店の会が、誘導や整理にあたり、お茶屋さんの前でお神輿を止めて、見物する方々のため写真撮影の時間を設けておられました。
その後、北野天満宮の東門前にて、お祓いをうけました。
様々な町内をお神輿が通ると、多くの人が手を合わせてお祈りされていました。
幼稚園や保育園の前を通ると、子どもたちがお神輿を待っていて、お神輿の大きさに驚いていました。
お年寄りの方から、小さな子どもまで、多くの年代の方にお祭の様子を見ていただけて、とても嬉しく思いました。
外国からの観光客も多くおられて、このような自然のものだけで出来ているお神輿を、とても興味深そうに見ておられました。
また、巡行の日には、卒業生の方が3人も来てくださり、とても心強かったです。
岡山から来てくださった方もいて、強い絆を感じました。
たった半月の夜なべ作業と当日の巡行だけの関わりのように感じられますが、何年たってもこのお祭りだけは!と、卒業生がお仕事をお休みして駆けつけてくるくらい貴重で大切なものなんだとひしひしと感じられました。
今までの活動内容なども聞けて、新しく知ることも多くありました。
午後4時半ころ、巡行が無事に終わり、お旅所に戻ってきました。
お神輿を安置した神輿殿の戸を順にはめていき、閉じていきます。
その時に、「すみ瓔珞」は外します。
このすみ瓔珞は、芯になっている木の部分と、赤ナスなどの腐ってしまう部分があります。集会所に戻ると、それらを分類していく作業がおこなわれていました。紐をほどいて1つずつバラバラにしていきます。
近づいてみてみると、すみ瓔珞のかさの部分にも九条ネギや水菜の種、白胡麻がびっしりと施され、ふちに千日紅も飾られているのがよくわかります。
お神輿の台車や轅、巡行に用いた太鼓も、集会所の横の蔵などにしまいます。
夜なべ作業から巡行までの1か月、保存会の方々と一緒にこのお祭りに携わらせていただき、とても貴重な体験をさせていただきました。
こうした保存会の活動があって、お祭は長いあいだ続いているのだと感じました。
西之京ずいきみこし保存会の皆様、本当にありがとうございました。