保存会のお二人へインタビューさせて頂きました

藤田晃平です。

10月2日と10月30日に聞き取り調査に行ってきたので、それについて報告します。

 

ずいき神輿は毎年西之京端饋神輿保存会の方々により9月上旬から中旬にかけての夜なべ作業を通して組み立てられます。

今回は保存会員のなかでもお神輿の桂馬・欄間の人形細工を担当されている7人のうち、荒田匡さんと清水賢司さんのお二方にお話を伺わせていただきました。

 

○荒田さん

10月2日10時、北野天満宮の御旅所にて荒田匡さんに聞き取りをさせていただきました。

荒田さんは保存会員歴18年で、入会して3、4年目から人形細工を担当されているそうです。前に人形細工を担当されていた、佐伯会長のお父様に頼まれたのが始めたきっかけで、題材は主に古典や昔話から選ばれています。

今年は宮沢賢治注文の多い料理店』のワンシーンと「蛇足」を製作されました。

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写真は「注文の多い料理店」ですが、色彩豊かに再現されており、農作物や干物のみで樹脂も使わずに製作されていると聞いて驚きました。

 

また今回特別に、この時期には保存会の方以外めったに口にすることができない、ずいきの親芋の煮付けを振る舞っていただきました(写真)。

親芋に出汁の味がしみていてとてもおいしかったです!

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また他にも手ぬぐいと北野天満宮のしゃもじ、お箸もいただきました。

 

1時間に及ぶインタビューの最後に、ずいき祭の継承についてのお考えを伺ったところ、荒田さんは次のようにおっしゃいました。

「ずいき神輿は観光客のためのものではなく、あくまで地域のためのものである。

これからも地域住民みんなで支えていきたい。」

この場を借りて改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!

 

○清水さん

10月30日16時、ご自宅にて清水賢司さんに聞き取りをさせていただきました。

清水さんは2000年に保存会に入会され、2002年から人形細工を担当されています。

きっかけは中学生の頃に通っていた美術教室の先生が保存会に在籍しており、その縁から清水さんも大学卒業後に入会されたそうで、動機は人形細工を担当してみたいからとのことでした。

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今年は「スーパーマリオ」や「ハシビロコウ」、ずいき神輿本体とは別に作られる小型版の子ども神輿の四獣を製作されました。

 

とても野菜だけで作られているとは思えないほど躍動感のある人形ですが、その秘訣を清水さんに尋ねたところ、野菜を細かく切り貼りせずそのままの形を活かして使っているとのことです。

これにより、近くから見ると人形が何でできているかがわかり、遠くから見ても近くから見ても楽しめる人形ができあがるとおっしゃっていました。

 

ところで日本の古典や昔話を題材とした荒田さんや他の人形と比較すると、洋モノや流行の題材を扱う清水さんの人形は様子が異なるように思われます。

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実際清水さんが人形製作を始められた当初は、上の写真のようなピカチュウミニオンなど、ゲーム・アニメなどの題材を取り上げることに関して賛否両論があったそうです。

しかし主に子どもからの評判がよいとのことで、次第に認められるようになりました。

「ずいき神輿の継承には地域の子どもたちの存在が欠かせないため。いかにして興味を持ってもらうかということを常に考えながらテーマを選んでいる。」

清水さんはこのようにおっしゃっていました。

 

○おわりに

お二方とも製作のテーマに違いこそあれ、地域とお祭りに対する思いには共通点が見られました。それはずいき祭は地域の行事であり、住民が一体となって支えていくというものです。

私たち受講生は、ずいき祭の持つ歴史や伝統に目が行きがちでしたが、聞き取りを行うことで、地域住民とずいき祭の関係性も改めて認識することができ、とても勉強になりました!

最後になりますが、お忙しい中お時間を割いていただいた佐伯会長、荒田さん、清水さんはじめ保存会の皆様、本当にありがとうございました!