9月4日(月)「縄」にする前に。

みなさまこんにちは、本日は中塚がお伝えします。本日の内容は、夜なべ二日目の集会所の様子と、「縄の下ごしらえ」です。

 

【写真①】夜なべの風景

 

この日の夜なべも、真紅をつくる人と縄を編む人、梅鉢を結う人など、各々の持ち場で作業が続く光景が見受けられました。黙々と作業する人もいれば、談笑を交えながら作業をする人もいて、とても居心地の良いひと時です。お茶やお菓子の差し入れも頂けて、そうしたささやかな心遣いがとてもうれしく感じます。

 

前日に引き続き、我々受講生が千日紅に糸を通していると、「外で作業があるからやってみないかい?」とお声がけをいただいたので、玄関に向かうと…二名の会員の方がニッコリと、「若者にぴったりな力仕事があるから、是非『体験コース』をどうぞ」と。

 

藁縄には、綯った時点では「ヒゲ」と呼ばれるささくれのようなものが飛び出ています。このヒゲを落とす作業、つまり縄の仕上げの工程を行います。

 

【写真②】「ヒゲ落とし」

 

藁から飛び出たヒゲを落とす方法は、いたってシンプルです。柵に縄の片方をくくりつけ、もう片方はピンとなるように引っ張ります。そして、あとは布でゴシゴシと擦り続けます。野村さんに見本を見せていただきましたが、すごい勢いで、全身を使って縄をしごいていました。擦られた藁の粉があたりを舞い、それがライトに照らされて、幻想的な光景となっていました。

 

摩擦で布は熱を帯びます。布越しに伝わる摩擦熱はじんわりと熱かったです。熱で溶けてしまうので、ナイロン製のものは使いませんでした。

 

縄を引っ張っているほうもしっかり縄を握っていなければなりません。とても力がいります。また、擦っても落ちない大きなヒゲは、ハサミで切り取ります。この日仕上げた縄は、5人がかりで4本ほどでした。

 

【写真③】ヒゲを落とす前

 

【写真④】ヒゲを落とした後

 

【写真⑤】汗を流しながらの作業

 

続いて、藁の束を叩く「タタキ」も教えていただきました。刈られて、干されたままの藁は固く、力まかせでは縄を編みづらいため、叩いて節を潰し、柔らかくなるようにほぐします。「棒を下に打ち付けようとすると、力を必要としますから、持ち上げるだけであとは重力にまかせて落とすだけです。」と伊祁さんに教えていただきました。叩く前と叩いた後の感触はまるで違い、とげとげしいものが柔らかくなっていました。

 

【写真⑥】板の上に藁、それを叩く

 

たった1時間ほど体を動かして作業をしただけですが、我々一同バテてしまいました。完成した神輿からは想像できない、隠れた大事な作業だと思いました。

 

縄が1つできるまでに、藁を刈り取り、干し、叩いて、編み、そして擦る、これだけの工程があります。その縄を使った「梅鉢」の見栄えをより良いものとするための「ヒゲ落とし」という最後の工程は、体力を使いますが、神輿づくりへの丁寧なこだわりを感じました。それぞれの工程はシンプルなものですが、どれも欠かせないものだと思います。

 

夜なべはまだまだ続きます、それでは。