9月15日(金)「梅鉢」と「燈芯」

 こんにちは、本日は中塚がお伝えします。

 久方ぶりの心地よい涼しさも束の間、また辛い暑さが京都に戻ってきました。

 あれだけの量があった千日紅。毎晩数人がかりで作業をしても、すべてに糸を通すには10日ほどかかりました。まさにコツコツ進む作業でした…

 先日紹介した稲穂を整える作業ですが、この作業でも多くの稲を扱います。一人ではとてもできないことですが、互いに協力し合い、時折世間話もしながら作業を進めるのであっという間に時間が過ぎていきます。

 

【写真①】縁側には大量の稲が…

 

 さて、この日私は「梅鉢」の製作を担当されている会員の方にお話を伺いました。梅鉢は北野社の梅紋を縄で作ったもので、神輿のさまざまな箇所に飾られます。

 この日行っていたのは、梅鉢の5つある輪っかを隣同士で結びつけ、梅の形に成形していく作業です。

 

【写真②】糸でくくる前

 

 一本の縄からこのような複雑な形を作れることが驚きです。見ているだけではどういう構造なのか全くわかりません…

 梅鉢は全て同じというわけではなく、大きさにも大小があり、4つないしは5つの用途があるそうです。全部で約150個作られます。この数をお二人で作られたというので驚きました…

 

【写真③】梅鉢の中心部分

 

【写真④】糸で括る

 

 この糸で輪同士を結び付ける作業を体験させて頂きましたが、まさかの大苦戦でした…私が1か所括る間に、隣で同じ作業をしている望月さんは、3つ、4つと梅鉢を完成させていました…人にはそれぞれ得手不得手があるのでしょう…私もなんとか梅鉢を1つ成形することができました。

 梅鉢はこれで完成というわけではなく、更にここから装飾がつきます。カボスや稲穂などを付けるそうです。今後どのようになっていくか注視したいですね。

 

【写真⑤】成形後の梅鉢

 

 梅紋は他にも至る所で確認することができます。この日はちょうど瓔珞に関わる作業が行われていたので瓔珞にある梅鉢紋も見せていただきました。

 

【写真⑥】瓔珞の傘

 

【写真⑦】傘に取り付けられた千日紅

 

 また、この瓔珞の傘に取り付けられている「燈芯」も拝見しました。燈芯は一本一本が非常に軽く、スポンジのような感触です。瑞饋神輿保存会では西陣の染め物屋さんに燈芯を染めてもらっているそうです。こうしたパーツひとつをとっても、瑞饋神輿と職人の結びつきを感じます。 

 

【写真⑧】紫に染められた燈芯

 

 梅鉢のような複雑な構造をもつ縄の結び方が現在まで伝承されていることに感慨深く思いました。

 また、燈芯を職人さんが染めていることも驚きでした。歴史のある瑞饋神輿と周辺地域の職人との関わり方についてもっと詳しく知りたいと思いました。

 本日はここまで。