番外編 桂馬・腰板作り

9月10日の夜なべ作業の後、保存会会員の上田さんのご自宅にお伺いし、人形細工の「桂馬」「腰板」作りの様子を見学させていただきました。
今回はその様子をお送りいたします!

桂馬とは、おみこしの四面に据えられる鳥居の間に飾られるもので、ハート型をしています。
製作を担当される会員さんは、毎年それぞれがテーマを決め、思いをこめて細工作りを行なっています。

上田さんの今年のテーマは…

真田丸」です!
真田幸村の兜は、野菜や果物など農作物で作られています。
今年の大河ドラマが始まったときから、既に今年のテーマとして考えられていたそうです。

材料は、旅行先の朝市や、普段利用するお店など、あらゆる場所で使えそうなものが集められます。
例えば兜のベースは、上部は棒麩、下部はかぼちゃをくりぬき乾燥させたもので出来ており、六紋銭の部分も丸麩を輪切りにしたものが使われています。
はじめはそこに手焼き麩を粉上にしたものでピンクに彩色されていたそうなのですが、インパクトを出すためとうもろこしに変更されたそうです。試行錯誤と入念な材料集めで、桂馬作りは成り立っていました。
農作物同士では糊がつきにくいため、パーツごとに和紙を張るなど、工夫がなされています。

ほかにも様々な作物が使われていますので、ぜひ10月1日から始まるずいき祭りの折にご覧になってください。

腰板はおみこしの下部に設置される飾りです。
昔は図案のパターンは決められたものだったそうですが、より手間をかけ作られるようになり、ここ10年あたりは四季がテーマになっています。
上田さんの今年の担当は秋。

紅葉する山が、五色とうもろこしやずいきの皮、とうもろこしのひげで表現されています。

こちらに使われているとうもろこしのひげは、以前から保存されていたもの。
同じように保存された大根の葉を、山の木々として使われることを考えたり、腐っても枯れてもそれぞれで使い分けを行い「ほかすところがない」とおっしゃられる上田さん。
私たちが普段なら捨ててしまうような野菜の皮や葉などにも、アイデアは眠っているのだなと驚かされました。
そして、普段からそれらを集め、丁寧に保存し、いつでも使えるように置いておくのが細工を行われる皆さんなのです。

腰板は、鳥居と桂馬の奥に見えます。少し見えにくいかもしれませんが、ぜひ探してみて下さいね。
毎日の集会所での作業だけでなく、その合間に個々でもこのような作業が行われ、ずいきみこしを彩ることになります。

これからこの様に、他の皆さんの細工作りの様子もお伝えしていければと思います。
以上、小川でした。